一年ぶりです。
めりくりあけおめ。
12月はピアノ版メフィストワルツ三昧でした。
別にニューイヤーにあわせたわけじゃないんですけどね。
通常版だとオグドンの3つ盤(PHCP206334)(BBCL4089)(BVCC38334)のあらぶる感じが素敵です。このなかで強いてあげるなら(PHCP206334)でしょうが、録音の良いビクター盤も大変よろしいです。荒くて。粗いけど。
知人がハフ(Virgin5614392)を薦めてましたが、どうも整然としすぎている感じがします。
ラフマニノフやサン=サーンスの協奏曲ではすごい名演をのこしているのですが・・・
めずらしい(?)ところだと、リヒテルのもの(RV10011) がなかなか。特に跳躍部分の、ミスタッチなんて気にしないでがんがん飛ばす感じが、「リヒテルは語る」に出てくる話の通りで興味深かったです。本の中で「これは(オセロの)イアーゴ・ワルツだから、転んでも速く弾くべき」といってましたが、たしかにイアーゴとメフィストは、無邪気に主人公の人生をメチャクチャにする点で似通っているかもしれませんね。
メフィストフェレス「きゃっきゃ♪」
イアーゴ「きゃっきゃ♪」
ファウスト&オセロ「うぼあ」
でも、メフィストワルツはやっぱりブゾーニ版こそ至高だと思うのです。
オーケストラ版の響きを尊重した上での、ブゾーニのピアノリダクションのすばらしさは原曲以上ではないでしょうか(弾き易いしね!)。
ただ、残念なことにブゾーニ版の演奏はあまり多くありません。ホロヴィッツやカペルなどのピアニストが「一部」採用していますが、僕が所有しているCDで、完全採用しているのはオライリー(CRC2036)とグロショップ(C7015 )位です。クレショフの演奏(VAIA1265)も完全ブゾーニ版として紹介されていますが、ホロヴィッツオタクの血が騒いだのかコーダがホロヴィッツ版になっています。演奏的にはクレショフがこの3つのなかでは迫力、テクニックともに一番優れているだけに、(原典主義者的に)残念です。
無料で聴ける演奏としてセシル・リカド姐さんのもの(ttp://traffic.libsyn.com/gardnermuseum/liszt_s514.mp3)があります。
ホルショフスキの弟子として有名な姐さんですが、あの温かい好々爺から学んだことを何一つ覚えていないかのような爆演を披露してくれています。ところどころ細かい音符をすっとばしてますが、この迫力の前には気になりません(原典主義者的矛盾)。とくにコーダの右手のトレモロなんて、「野火」に出てくる、機関銃を死に体の日本兵にぶっぱなす比島女性、さながらです。
大東亜共栄圏完成後は間違いなく極刑ただ、なんだかんだいって、一番記憶に残っているのが編曲してないのになんかヘンなカツァリス(WPCS-10387)と言うお話。
小さいけどやわらかい手の持ち主、バカみたいに早い同音打鍵、異様に正確な跳躍、コントロールされつくした和音、やたらと内声を響かせる美的感覚
このへんは、カツァリスが20世紀最大のヴィルトゥオーソ、ヨゼフ・ホフマンと並ぶ点だと思うのです。
が、なぜかこれらの技をホフマンが繰り出すと「粋」に感じるのに、カツァリスがやると「いやらしく(良い意味で)」聞えるから不思議ですね。
今回はカツァリス褒めで終わります。
フランス人芸術家はみんなヘンタイ!